2014/02/25

日本のデモシーナー、kiokuさん(System K)にインタビュー


Wikipedia日本語版によると、海の向こうでFutureCrewがブイブイ言わせていた90年代の“デモシーン最盛期” と呼ばれる時期でも、日本にはデモシーンの文化が生まれなかったといいます。
デモシーンの本場ヨーロッパでは、当時数千人規模のデモパーティーが盛んに行われていたようですが*、最盛期から約20年経った現在では、その数や参加人数が減り続け、「デモシーンは終わった」という言葉が聞かれるようになったそうです。

ところがどっこい。そんな流れに逆行するかのごとく、日本では2011年から新たにデモパーティーが始まっています(笑)。今回は、この日本唯一のデモパーティー「TokyoDemo Fest」のメインオーガナイザーであり、海外のデモパーティーにも積極的に参加している日本のデモシーナー、kiokuさんにお話を伺いました。

インタビューでは、デモシーンとの出会いやTokyo Demo Fest開催にいたるまでの経緯、デモ作りに関するトップシークレット、バルマーピークの実践法(笑)も紹介しています。(また、CG業界を目指す学生さんたちに向けた実践的なアドバイスもありますよ!)

どうぞお楽しみください!

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まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?


(Photo provided by kioku)

本名は 健太郎です。所属しているグループSystem Kす。
System Kではリーダーをしています。担当は主にプログラムとグラフィックスです。個人的にはごく稀に作曲もしますが、経験が少ないので担当はしないですね。


以前、日本にデモシーンがあったのかどうか分からないので特に興味があるのですが、デモ、またはデモシーンとはどのように出会ったのでしょうか?

最初にデモシーンを知ったのは、高校生の頃、本屋に寄った際に見つけた日本デモシーン界の唯一の書籍、『メガデモを作ろうですね。


その本に出会ってすぐに自分でも作ってみようと思ったのでしょうか? 初めてデモを作った時のことを聞かせてください。

当時3Dのプログラムを作りたいと考えていたので、『メガデモを作ろう』を購入し、サンプルプログラムを打ちこんでプログラミングしていました。当時はまだいろいろ数学など理解してないことが多く、ちゃんとしたものが作れるようになったのは大学生になってからですね。

一番最初に作ったデモは、大学のコンピュータサークルの新入生勧誘のためのデモでした。どれくらいの期間で作ったかははっきり覚えてないですが、3週間くらいだったでしょうか。春休みだったので部屋に籠もりっきりで作っていました。当時から今も一緒にデモ制作を行っている音楽担当のsinclとともに制作しました。内容は今から考えると大したものではないのですが、勢いはあったと思います。当時は満足していたと思います。おかげさまで新入生もたくさん入りましたしw


学生らしい春休みの過ごし方ですね(笑) ところで、デモを制作する時は、あらかじめスケジュールを決めたりするのでしょうか?

System Kの制作プロセスでは先に曲ありきで始めるので、全体構成などは大体は考えるのですが、細かいところは後で決めていきますし、後から大きく変更したりもします。スケジュールも大まかにきめますが、割と適当です。結果、だいたい最後で無理なスケジュールで進行するので毎回間に合うかヒヤヒヤですw 他のチームのデモ制作からすると、かなり行き当たりばったりだと思います。(もう少しちゃんと計画立ててやらないと。。。)


なるほど(笑) 日本のデモシーン人口は決して多いとは言えないと思うのですが、ほかの人やグループとコラボレーションする時は、どんな風に進めていくのでしょう?

デモは結構作ってますが、実はあまりコラボレーションの経験は少ないですね。コラボしたことがあるのは eldoradoGOTさんと、nonoilqさん。そして最新作でRTX1911TSさんとですね。


break over - TokyoDemo Fest 2014 Invitation –" (2004) by SystemK & RTX1911


コラボの作業は、曲だけであれば作ってもらって終わりですが、プログラムやグラフィックスの場合はそれぞれのチームのどちらのデモシステムを使うかを決め、そこからデモシステムを使うチームの人に合わせて制作を行っていきます。

自分で作る場合も適当なスケジュールしか組んでないのに、なぜかコラボする場合に、全体のスケジュールマネジメント係になることが多いですw (意外に一人の時よりはちゃんとしているという。。笑)


デモを作る時に自分のなかで決めているルールや、気をつけているポイントなどはありますか?

私がデモ制作に置いて重視しているマル秘ポイント3つをお教え致します。

1. デモはノリが重要。
ノリを良くするためには曲のBPMbeat per minutesに合わせることが重要です。
つまり、バスドラムや曲調の変化、エフェクトなどに合わせてグラフィックスを気持よく同期させることが重要なのです。

2. 観客の意識
デモは観客に見せるために作る。画面に表示されるもの自体のクオリティはもちろん重要ですが、それよりも観客を「おおっ!」と思わせることのほうが重要です。
意外性のあるシーン展開をしこんでおくのがポイントです。

3. 大画面対応
視野角は大きめにとれ。
デモはコンピュータのディスプレイではなく、デモパーティ会場の大きなスクリーンで上映されます。画面がただ大きいだけなのですが、小さい画面で見ているものをただ大写しにしても迫力は増しません。
CGの用語で、視野角=FOVField of viewの設定というのがあるのですが、多少大きめの値にしておくのが良いです。経験上 120度とか130度くらいで良いです。ディスプレイでみると人間の視野の一部しか覆えてないのですが、大きなスクリーンだと視野のほぼすべてを覆います。このときの角度に合っているとベストです。ベテランのデモ制作チームであるほどこの設定が絶妙にうまいですね。


えっ、視野の角度まで考慮するんですか!(驚き) さて、恒例になりつつある「お宅拝見コーナー」なのですが(笑)、kiokuさんのデモが生まれる現場を見せていただけますでしょうか…。

写真のデスクで作ってます。


(Photo provided by kioku)

でた!変形キーボード!(笑) 必ず音楽を聞きながら作業するとか、深夜に作業するとか、コーヒーを飲むとか、何か自分なりの決め事やこだわりはありますか?

深夜作業ですか?別に深夜に作業したい訳じゃないんですが、気がつくといつも深夜ですね(爆) コーヒーはよく飲みます。あとは炭酸(カロリー0のもの)ですね。良質なコーディング作業にはカフェインは必須です。
デモの制作の終盤はビールを飲みながらシーンを調整します。これは先のデモのノリを調べるために飲みます。アルコールを少し摂取しているほうが音楽との同期などに敏感になり、より音楽にマッチしたシーンを作ることができます。しかし、飲み過ぎると眠くなってしまうので注意ですねw


(残念ながら私には理解できない部分ですが、デモを作ってる方のためにお願いします) どんなプログラムを使ってデモを制作していますか?自作 のデモツールを使ったりしていますか?

デモ制作のフローは人によってかなり異なります。3Dのモデリングソフトを全く使わない人、自作ツールも使わずに、ほとんど直でプログラムを書いてしまう人など。今は、デモ制作にはモデルの作成とアニメーションにMODOという市販の3Dモデリングソフト写真左、シーン構成には自作のツール(写真右)を利用しています。

私は高校生のときに3Dモデリングソフトでアニメーションムービーを作っていたりした経緯から、3Dソフトをベースにして作るというのが基本的な制作フローになっています。もちろん4KB Intro4096byteの制限のデモ)などの制作の場合は、サイズの都合上3Dソフトは利用できないので自作ツールのみになりますけど。


kiokuさんは海外のデモパーティーにも参加されていますが、初めて参加したデモパーティーはどちらでしたか?

初めて海外に作品を出したのはnvision/NVSceneという2008年に米国で開催されたデモパーティです。このデモパーティには参加しなかったのですが、このデモパーティを機にGargajさんから「君はヨーロッパのデモパーティに参加すべきだ」という話をされ、Breakpoint(ドイツで開催されていた大規模なデモパーティー)に行こうと決意しました。なので初めて参加したデモパーティはBreakpoint2009ということになります。



"Life on Air" (2008) by SystemK


ヨーロッパのデモパーティーとは、どんな雰囲気なのでしょう? 個人的にはちょっと敷居が高いイメージがあるのですが…。

参加する前に情報を調べた限りでは、デモパーティの紹介のされかたが、「プログラミングコンテスト」だというようなものが多かったのですが、実際に参加してわかったのが、OFF会などの飲み会やお祭りに近いものだと感じました。セミナーなどもあるのですがどちらかというとそれはおまけで、普段会えない人たちと会って楽しい時間をすごすのがメインです。集まるシーナーはヨーロッパ全土からあつまり、特にBreakpointは大きいので、年に1度しか会えない人など共通のシーナー魂をもった人たちが一同に集まる会だと感じました。

デモパーティではデモ作品のコンペティションがあるわけですが、1000人以上の観客がいる前で自分のデモが再生されるわけです。しかも自分もその場にいるのです。デモが上映されると、他人のデモ作品と比べて自分のデモが良いかそうでないかが一発で理解できます。再生される前に、次に再生される作品が自分の作品であることを示すスライドが表示されるとものすごくドキドキしますね。

コンペティションはただ作品を上映して終わりではありません。その後、観客からは君の作品のここがよかった、あそこがよかった、ここはもう少しがんばった方がいいなどフィードバックを直にたくさんもらえます。これは作品を作った人にとっては非常にうれしいことです。

Youtubeやニコニコ動画などでも、コメントがもらえるとうれしくて続けている人が多いのを考えると納得ですよね。日本でよく行われているプログラミングやゲーム制作のコンテストなんかは、頑張って作って投稿しても、会ったこともない有名?クリエイターなどの審査員の人たちから評価されて終わりなことがほとんどです。運が良ければ数行のコメントがもらえるかもしれません。少し大げさですが、ネット越しに100人の人にすごいといわれるより、実際に会った1人に目の前ですごいと言われるほうが何倍もうれしいのではないでしょうか。



kiokuさんは、日本で唯一のデモパーティー「Tokyo Demo Festのメインオーガナイザーとしても活躍されていますよね。日本でデモパーティーを始めようと思ったきっかけと、開催までの経緯などを教えていただけますか?

日本では2001年ごろに「2chpartyというオンラインデモパーティが開催されていました。そのあと2005年から2009年まで開催されました。私は2005年から参加していましたが、2009年にBreakpointに参加してからオンラインデモパーティではダメだ!と思い始めるようになりました。

2008年頃にはGargajになぜ日本でデモパーティを開催しないのか?と何度も(笑言われていましたが、当時の日本のデモシーンコミュニティでは「2chpartyでもそれほど作品集まらないのに、実際に開催してどれくらい集まるの?」とか、「地方の人も多いのに関東で開催してもあまり集まらないのでは?」などネガティブな意見は多かったですね。私もそういった意見だったのですが、2011年にqさんがメガデモ勉強会をしようという企画をしているのに出会いました。当時は徐々にプログラマの勉強会が多く開催されはじめることが多く、そういった流れで企画されたものでした。

そこで私が、「まぁせっかくやるならデモパーティもやろう!」といって、前半にセミナー形式の勉強会を行い、夜に懇親会的にデモコンポを行いました。開催当初はどうせ10人くらいしか集まらないだろうと思っていたのですが、たしか40名くらいは集まったと思います。

意外に集まると分かったので、次の年も開催しました。最初は規模も対して大きくなく、qさんとふたりでなんとかなったのですが、今の100人くらいの規模になるとオーガナイザー側も大変で、TokyoDemoFestで出会えたデモシーナーたちに助けられています。


基本的な質問で申し訳ないんですが、、「オンラインデモパーティー」とは何ですか? 参加者とデモを見ながらチャットするような感じですか?

オンラインデモパーティとは、デモ作品を作り、締め切りまでにオンラインサイトパーティ開催ウェブサイト)に作品をアップロードします。締め切り後、サイトを訪れた各々がそれぞれの作品をダウンロードし、作品に投票するというものでした。投票された票が一番多い作品が優勝ということになっていました。


あぁ、なるほど。理解しました(笑) 最初は「勉強会」だったということですが、どういった場所で開催していたのですか?

最初のTDF2011は、貸し会議室で技術的な勉強会+デモコンポ(懇親会の代わり)で開催しました。貸し会議室ではデモ音楽の音量など不足なのとデモパーティにはビールとオールナイトだろということで、TDF2012は秋葉原のMOGRAという小さなDJイベントなどを行う会場でオールナイトの開催をしました。思いのほかTDF2012では人が集まったため、もっと大きな会場を探し始めました。


(At TDF2013, photo provided by kioku)

TDF2013は今のアンステイチュ・フランセ東京で行うことになりました。この会場は今も一緒にオーガナイザーをしているフランス人のデモシーナーのZavieさんが見つけてきました。日本で飲みお酒を含む)食いしつつ、電源も使えて夜もOKという場所はなかなか無いのです。オールナイトはTDF2012で多くの人が一度帰宅した経験からあまり重要ではないということがわかりました。今のTDFのデモパーティ自体の雰囲気は割と気に入っているので、しばらくは今の雰囲気でやっていきたいと考えています。


昨年、ちょっとお邪魔させていただきましたが、いろいろな文化が入っていて、素敵な会場でしたよね。 さて、TDFは来月に4回目の開催を控えていますが、オーガナイザーとしてどんな感想をお持ちですか?

デモパーティを開くのはとても労力が要ります。しかも多くの人たちの協力が必要です。ヨーロッパで開催している人たちもすごい大変だと言っていましたが、身をもって実感しましたw しかし、実際に開催してみると、多くの人たちから「TDF良かったです」と言われるのは自分のデモ作品を出したときとまた違った良さがありますね。

デモパーティ開催には3つの協力が必要です。
それは、オーガナイザー、スポンサー、そしてデモシーナー観客)です。

まず、オーガナイザーに関してですが、オーガナイザーとして協力してくれているデモシーナーのメンバーには非常に感謝しています。彼らの存在無しではTDFは成立しないでしょう。
ところで、私はデモパーティを開催する能力はデモを制作する能力とはまったく別のものだと考えています。ヨーロッパのデモパーティでもメインオーガナイザーはあまりデモを作らない人がやっていることが多いですね。しかし、しかし今のTDFメンバーはデモを作れる人が多く、オーガナイザーのタスクに多くの時間を取られているので少しもったいなくも思っています。(彼らにもっとデモを作る時間を作ってあげられたら!)

次にスポンサーの存在です。今のTDFを行うにはスポンサーの存在が欠かせません。特に株)イマジカデジタルスケープユニティテクノロジーズジャパン合弁会社には多くのスポンサーをしてもらっていますし、株)ASAHIネットにはTDFのネットワーク環境の機材貸し出しと構築のスポンサーをしてもらっています。

そしてデモシーナーの存在。会場があっても、デモがなければデモパーティになりません。TDFに参加してくれるデモシーナーたちがスゴいデモをもってくればデモパーティはよりいっそう盛り上がります。昨年、作品を作らずに参加した人からは、「他の人の作品を見て自分も作品を作りたくなりました」という話を聞きました。デモパーティでは、デモ作品がデモシーナーを呼ぶのです。作品を作ってきた人同士も、お互いに「来年はよりすごいデモを作ってやる」と心に決め、より優れた作品を出そうと考えます。TDFはそうした、デモシーナーによるデモシーナーのためのデモパーティであるべきだと考えています。


現在の日本のデモシーンはどんな状況なのでしょう?技術的なトレンドや参加者の雰囲気など、ヨーロッパのデモシーンと異なる部分がありますか?

日本ではヨーロッパのデモパーティなどに参加するようなアクティブに活動している人は少ないですね。ただ、デモシーンの人口が少ない訳ではなく、デモシーンを認知している人、昔活動していた人などは結構います。さらに、そのような人たちは、今はかなりの技術力をもっている人たちが多く、そういった人たちにデモを作る時間があれば、かなり良い物ができるんじゃないかと考えたりしています。

また、Tokyo Demo Festを3回ほどやったおかげで、今までデモシーンの存在を知らなかった人たちにも認知され、だんだんとデモシーンの認知が広がっている状況です。ヨーロッパのデモシーンは、昔からの参加者がだんだん高年齢化して、若い人があまり入ってこないという悩みがあるようですが、日本のデモシーンは、新しい(いままで無かった感じのイベントとして捉えられているので20代の人なども結構いますね。

近年の技術トレンドとしてはやはりGLSLのフラグメントシェーダだけでデモを作るというものでしょうか。この技術は4KB64KBなどでよく使われ、手軽にデモを作れることが特徴です。最近はブラウザベースでも作ることができ、GLSL sandbox Shadertoyなどが有名です(Chromeブラウザ推奨)。この技術は、日本では @gyaboさんや @301zさんらが早期からいろいろ試していましたね。


いくつかお気に入りの日本のデモを紹介していただけますか?

最近のだと、昨年のTDFのインビテーションデcandy~tokyodemofest 2013 invitation~」(動画す。
実は日本のアニメのような2Dアニメーションを64KBで作るというアイデアは私がだいぶ前から温めていたアイデアだったのですが、qさんがインビテーション作るときにこのアイデアを話したら、「それいいですね!やります」っていってやられましたw しかし、qさんが作り始めたときは私自身は作れる自信がなかったんですが、彼はやりきっちゃいましたね。この時は本当にすごいと思いました。

古いオススメのだとRadium software developmentさんの「minimalとかですかね。ソースコードつきなのでいろいろ勉強になりました。ちなみにこのデモの制作者の方はTokyo Demo Fest 2014でセミナーを行ってくださいます。


では、続けて質問ですが、日本に限らず、好きなデモ、または心に残るデモ、影響を受けたデモ、、または人生を変えたデモ kiokuさんにとって特別なデモを教えてください。

AND氏のデモですね。Squish[64KB]assembly 2002 (動画は大学生のときに初めて見て驚愕しました。また、翌年発表した zoom3[64KB]assembly 2003 (動画も印象深いですね。AND氏のサイトによると私とたまたま同じ年齢で、3Dプログラミングをぼちぼち始めた頃の自分と同じ年齢の人が64KBでこんなにスゴいデモを作っているのかと驚き、同年齢のやつに出来るなら、自分にも作れるだろうと思ってデモを作り始めましたw (同じような64KBデモを作れるようになるのに3年くらいかかりましたけど。)

今はCGプログラミングの仕事をしていますが、あの時AND氏のデモを見て、デモ制作を始めていなければ、今の仕事につけていたかはわかりませんね。というのも、就職活動の時期は、あまりエントリーシートを書かずにデモのプログラムばかり書いていて(笑) 面接でもほとんどデモ制作の話しかしていなかったのですが、後から考えるとこれはかなり良いアピールになっていたようです。
学生向け注釈: CG関連の企業のエンジニアからみるとデモシーンのようなディープな知識をもった人は歓迎だし、チーム作業でのコミュニケーション能力、デモ作品自体でその人がどのくらいの技術を持っているかは一目瞭然だからです)


たしかに、同年代の人の活躍には特に刺激を受けますよね(笑)
現在CGプログラミングのお仕事をされているとのことですが、職場でさんざんプログラミングをした後に(想像ですが…)、家でもデモのプログラミングをするのはなぜですか?何がデモを作る楽しさなのでしょう?

デモ制作は90%の苦行と10%の楽しみで出来ています。いや、実のところ作ってる最中は本当に大変ですね。特に終盤になるとかなり忙しいのですが、作り終わって公開したときの開放感は素晴らしいですね。10%は自分の自己表現をしたいという部分でしょうか。

デモ制作を始めた頃は、いろいろ知りたい技術などがあり、結構、技術の探索が楽しみだったので、もう少し楽しみの割合が多くあった気がしますが、ある程度、技術を習得してくると、「あーこのデモはたぶんこの手法だな」など、なんとなく分かってくるので、「あぁ、まぁやればできるだろうなぁ」と思ってしまいます。とはいえ、実際に始めるといろいろ問題はあると思うので、そう簡単でもないんですけど。

私の場合、デモを一本作るのにトータルで100時間から200時間くらいかかります。もちろん内容にもよっても変わりますが、だいたいそれくらいです。デモ関連以外でも他にもやりたいこともあったりするので、他との時間の兼ね合いですかね。デモ作りたい欲が、他のことをやりたい欲を上回ったときにデモ制作をしていますね。

デモ制作以外だとTokyo Demo Festのオーガナイザーの仕事もかなり大変です。デモは他にも作れる人はいますけど、オーガナイザーをできる人はあまりいないので今はこちらの方に力をいれていますね。


ちなみに、デモ制作やコンピュータ関連以外だと、どんなご趣味をお持ちなんでしょうか?

最近だと、自転車ロードバイク)に乗っています(以前群馬でお会いしましたね(^_^) よく走るときだと、200km以上走ったりします。小旅行と運動が同時にできるのでとても楽しいです。特に、峠を登っている時の、ずっと苦しい感じはデモ制作の辛いときの感覚に似ていますし、峠を登りきったときの達成感はデモをリリースしたときと似ています。一番一緒によく走るのは@dgtanakaさんとですね。しかし、最近は寒いのであまり乗ってませんw 暖かくなったらまた乗りたいと思ってます。


(Photo provided by kioku)

群馬県は空気もおいしいですし、なぜか峠だらけですので今後も自転車に開発合宿に是非ご活用ください(笑) 今後はどんな作品を作っていきたいと思いますか?

デモ作品では温めている案があります。曲もすでにあるのですが、まぁ内容はリリースしたときに。時間とれるのはTDF2014の後ですかね。。いつになることやらw


楽しみにしておきます。では、作品に限らず、デモシーン関連でやってみたいことや目標はありますか?

Tokyo Demo Festが広く認知され、参加している人たちが、スゴい人達の集まりだ!と言われるようになるのが目標です。


具体的にはどんなことを考えていらっしゃいますか?

TDFは最初は日本でもデモパーティを開催してみたい!という気持ではじめただけなのですが、今は、日本のデモシーナーをもっと応援できるための場所にしたいと考えています。デモ制作自体、みんな個人的に好きでやっているだけなのですが、スケジュール管理やメンバーとの協調作業、プログラミング能力、クリエイティブ能力、センスなど、デモ制作には多くのスキルが要求されるので、多くのデモ作品を作っているだけで、その人が非常に多くのスキルを持っていることがわかります。また、どのようなプログラミングスキルがあるかなど、見る人が作品を見れば、百聞は一見に如かずなのです。

そういった背景から、ここにはこんなすごい人たちがいるんだというのを世の中に広く知ってもらいたいと考えるようになりました。また学生や求職の人たちがデモを作った場合など、いわゆる就活・転活なんてしなくても、「ただデモを作ったら、いつのまにか企業からオファーが来た!」となるようにしたいと考えています。実際、企業のエンジニアの人たちに話を聞くと、デモシーナーのような人材には非常に興味があるとの話を多く伺います。

好きなことをして、好きな作品を作ったら周りから評価された!また何か作ろう!というクリエイティブな活動サイクルを大切にし、TDFはそのようなデモシーナーたちの作品の発表の場であり、デモシーナーの活躍を後押しできる場でありたいと考えています。


今後の展開が楽しみですね。では、最後にデモシーナー、デモファンの方にメッセージをお願いします。

別にデモ関連に限った話ではないんですが、30代になってから時間の進み方が早いと感じるようになりましたw だんだん他にやらないといけないことも増えてくるので、デモを作るなら20代がオススメですね(^_^) とはいえ、30代、40代でデモが作れなくなる訳ではないので、おじさんたちも気が向いたらデモを作りましょう(笑)

デモは一見不可能そうなすごい技術でできているようにも見えますが、そのほとんどの基礎は、世間一般のプログラミング、CG、音楽の分野とさほど変わりません。デモ制作は、それらの道のひとつひとつをプログラムで繋いでいくようなものです。制作を続けていると、あるときそれぞれの分野間のショートカットのようなものを発見できます。そのショートカットの積み重ねが一見不可能そうなデモの制作を可能にするのです。

それではこのへんで。
See you next demo party!


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kiokuさん、TDFの準備やインビテーションデモの作成でお忙しいところ、どうもありがとうございました!そして、日本にデモパーティーの文化を持ってきてくれてありがとうございます!

今年のTokyo Demo Festは、2014321日から3日間の開催となるそうです。ご興味を持たれた方は、是非にチェックしてみてください。

また、日本のデモシーンポータル、demoscene.jpでは、日本のデモ作品、チュートリアルなど、デモを作る方にとって参考となる資料が数多く公開されています。(海外のデモパーティーに参加した時の“参戦記”みたいなものもあっておもしろいです。)


最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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- そもそも“デモ”ってなに?パソコンの話?と思った方は、まずはこちらのMoleman2のドキュメンタリーを見るべし。(この映画の監督、シラードさんのインタビューはこちらでどうぞ。)

#1: 日本のデモシーナー、qさん(nonoilgorakubuのコーダー)にインタビューは、こちら
#2: デモシーナー、Gargajさん(ConspiracyÜmlaüt Design)にインタビューは、こちら
#3: デモシーナー、Preacherさん(Brainstorm、Traction)にインタビューは、こちら
#4: デモシーナー、Zavieさん(Ctrl-Alt-Test)にインタビューは、こちら
#5: デモシーナー、Smashさん(Fairlight)にインタビューは、こちら
#6: デモシーナー、Gloomさん(ExcessDead Roman)にインタビューは、こちら

- その他、「デモ」と「デモシーン」に関連する投稿はこちら


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